失敗事例!煽って急かされて調印
◆東京製作所は、神奈川精機を買収しました
1月10日 M&A仲介業者の営業担当者が東京製作所に来社。
2月1日 A社長は秘密保持契約およびアドバイザリー契約を締結。
3月2日 仲介業者は、神奈川精機の買収を検討している会社を集めて説明会を開催。
3月20日 A社長は神奈川精機のB社長と基本合意書を締結。
基本合意書には買い手側が買収監査デューデリを実施すると書かれていたが、A社長がそれを希望すると、「エッ? 本当にデューデリをやるのですか?」と露骨に嫌な顔。たたみかけるように「株式譲渡式は4月20日とさせてください」と指定してきた。
4月20日 株式譲渡契約に調印へ。
神奈川精機の総資産は10億円なので、仲介手数料は5%の5千万円。東京製作所および神奈川精機はそれを払い、仲介業者が手にした手数料は合計1億円に及ぶ。
4月21日 A社長は神奈川精機に赴いて全社員の前で挨拶。
「ボッコ会社を高値で掴まされた」
◆社員にとっては寝耳に水
◆労組から団交の申し入れ
買収して3カ月後、A社長はFAXで労組の団体交渉の申し入れを受けました。神奈川精機に急きょ労働組合が結成された。会社の売却という大事件で、みなが動揺し、社員20人のうち15人が加入。
A社長は神奈川精機の社長になって団体交渉の場に引きずりこまれ、次の要求を突きつけられました。
要求①「時間外手当の計算がおかしいので、是正してほしい」
要求②「未払いの時間外手当を過去3年間に遡及して払ってほしい」
要求③「賞与は年間5カ月分を保障したうえで査定によりメリハリを付けてほしい」
要求④「昇給は毎年最低でも6千円してほしい。そのうえ今年は物価手当を支給してほしい」
ガッカリ! 時間外手当をちゃんと払ったら利益ゼロに
ガッカリ! キーマンの退社で仕事を継続できず
◆「オレが馬鹿だった」
なぜ、こんな会社を買ってしまったのか!