弁護士の行う法務デューデリ

主に労働法規の遵守状況をチェックすると思います。
また労組の存在や、労働トラブルの有無も調べるでしょう。

もちろん未払い賃金の有無も問いただしますが、その際に電卓を叩く弁護士を見たことがないので、実際の賃金計算まで確認していないと思います。

社労士の行う労務デューデリ

社労士が得意なのは賃金計算です。電卓を片手に賃金明細をつぶさにチェックします。
また、社会保険料や労働保険料の納付が適正かどうかを確認するでしょう。役所の調査を受けるのは馴れているので、役所が行うのと同じ方法でできます。

賃金と社会保険料の未払いは二大リスクですから、そのチェックは必要不可欠です。

こんなはずでは! 未払い賃金を見落とす

北見

時間外手当の計算式が違法だった場合、それを適法に直せば以後の時間外手当の単価が増えます。
時間外手当を適正に払うことにより「今後増える時間外手当」に関して売り主に責任があったとして賠償を求めることができますか?
買収金額を決める際に「自己資本+利益の向こう数年分」という算定方式が使われていたという前提です。
買収後の利益が減る分だけ返金してもらいたいのが買い手側の気持ちです。

弁護士

「今後増える時間外手当」は、適法に残業時間を計算すれば当然に発生する費用です。したがってデューデリ実施の有無にかかわらず、これを買主の損害とみることはできないため売主に責任追及していくことは難しいと考えます。

デューデリは、買主がリスクヘッジするために行うものです。

デューデリを実施しなかったため、予期せぬ問題が発生した場合、損害賠償(損失補償)の規定で対応できればよいのですが、それでは対応できない問題は、買主側が負担せざるを得ません。

そうならないようにするのが、デューデリと考えます。

こんなはずでは!弁護士が社会保険の未加入を見落とす

当社は、訪問看護の会社を買収しました。

賃金明細は買収後に初めて見ましたが、驚いたのは社会保険に未加入の人が大量にいたこと。

訪問看護会社は、個人営業だったせいか、本来、社会保険に加入しないといけない人たちを全く加入させていなかったのです。

そのせいで買収後に社会保険料がかなり上がりました。

また、買収した会社は年次有給休暇も全く付与していない状況でした。過去から遡って一から付与することになりましたので、大きな負担です。

当社はこの買収時に知り合いの弁護士に法務デューデリを依頼したのですが、社会保険のことはすっぽり漏れていて、報告内容に書かれていませんでした。
年休のことも、労使トラブルのことも。